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人事制度設計

一般的な企業における人事制度は、資格等級制度・評価制度・報酬制度の3つを中核として構成されています。
近年では、タレントマネジメントの重要性が高まる中で、人材開発制度やキャリア開発制度をこれらと連動させて設計する企業も増えています。

本ページでは、資格等級制度・評価制度・報酬制度の3制度を中心に、当社の人事制度設計コンサルティングサービスの特徴をご紹介します。

当社の3つの特徴

01

等級・評価・報酬が
有機的に連動する制度設計

各制度を個別最適で終わらせるのではなく、等級定義、評価基準、報酬決定ロジックが一貫性を持って機能するよう設計します。制度運用時の納得性と実効性を重視します。

02

タレントマネジメントと
連動しやすい制度構造

人材情報の可視化や配置・育成に活用できるよう、将来的なタレントマネジメントサービスとの接続を前提とした制度設計を行います。

03

豊富な実績に基づく
キャリア開発・研修制度の提案

長年にわたる人事制度設計および人材育成支援の知見を活かし、制度導入後のキャリア開発施策や研修体系まで見据えたトータルなご提案が可能です。

資格等級制度

特定の基準に基づいて社員を区分し、格付けする。

資格等級制度とは、一定の基準に基づいて社員を区分し、等級として格付けする仕組みです。企業の人材マネジメントの土台となり、評価制度・報酬制度とも密接に連動します。
代表的な類型として、職能資格制度、職務等級制度、役割等級制度が挙げられます。

1. 職能資格制度

職能資格制度は日本企業で最も広く採用されている制度で、能力の発展度合いに応じて等級を管理し、能力向上を促す設計です。等級数は7〜9程度とするケースが多く、職能資格要件定義書により各等級で求める能力を定義します。
この制度は「一度獲得した能力は基本的に低下しない」という前提に立つため、原則として降格は行わない運用が一般的です。結果として、年功的な処遇運用と親和性が高い制度と言えます。

2. 職務等級制度

職務等級制度は、担当する職務のレベルに応じて等級を設定し管理する仕組みです。等級数は6程度とする例が多く、業務内容と報酬の関係が明確になる点が特長です。
職種・等級ごとに職務記述書(ジョブディスクリプション)を整備し、職務の範囲や責任を明確化します。報酬は職務価値に基づいて決定されるため、職務レベルが変われば報酬も連動して上下します。

3. 役割等級制度

役割等級制度は、職務ではなく「担う役割のレベル」に応じて等級を設定し管理する制度です。等級数は6程度とする例が一般的で、職務記述書の代わりに役割定義書を作成し、各等級の役割を定義します(例: スタッフ、マネージャー、シニアマネージャーなど)。
報酬は職務価値ではなく役割の大きさに紐づくため、社員が担う役割の変化が処遇に反映されやすい設計となります。

等級制度設計における実務上の留意点

等級制度は、単一の枠組みで全社員に適用するだけでなく、組織実態に合わせた設計が重要です。例えば、管理職層と一般職層で異なる等級体系を採用するケースもあります。また、一定等級以上はライン管理職に限定せず、専門職ポジションを設けるなど、複線型(デュアルラダー)のコース設計を導入する企業も増えています。
さらに、総合職・一般職・エリア職・専門職といった職群設計や、営業系・技術系・管理系・現場系などの職種設計を行い、業務実態に即した等級制度を構築する必要があります。
加えて、昇格の基準やモデルを会社として明確に定め、公表しておくことが望ましいです。キャリアの透明性は従業員満足度に直結するため、昇格要件や標準者(通常評価の社員)の昇格モデルを示すことで、納得性と健全な成長意欲を促進できます。
最後に、等級・役割・ポジションごとの要件定義を明確に区別することが不可欠です。等級定義が曖昧なままでは、評価や報酬の基準も不明確となり、不公平感の発生要因になります。等級制度は人事制度の骨格であるため、現状の整合性を点検し、必要に応じて見直しを行うことが重要です。

評価制度

等級毎の基準に基づいて社員を評価する。

評価制度とは、等級ごとに定めた基準に基づいて社員の成果や行動、能力を評価し、処遇決定の基礎とする仕組みです。人事制度全体の中でも、従業員の納得感やモチベーションに直接影響する重要な制度です。

一般的な評価項目としては、成績評価、能力評価、情意評価、プロセス評価などが用いられます。このうち、成績評価やプロセス評価については、目標管理制度(MBO: Management By Objectives)を導入している企業が多く見られます。
目標管理制度では、期初に従業員が目標および達成プロセスを設定し、上司とすり合わせを行った上で、期中に計画的な実行を進めます。設定される目標は、経営方針や事業戦略をブレイクダウンした組織目標と整合していることが重要であり、これをトップダウン目標と呼びます。一方で、業務改善や自己啓発、能力開発など、個人の成長を目的とした目標も設定されることがあり、これらはボトムアップ目標と位置付けられます。

期末には本人による自己評価を行い、その後、上司や人事委員会等による確認を経て、最終的な評価および評語が決定されます。また、評価の妥当性を高めるため、期中・期末における面談やフィードバックを上司が行うことが原則となります。これら一連のプロセス全体が、目標管理制度の基本的な流れです。
能力評価については、等級や役職ごとに定めた要件定義と照らし合わせながら、上司が総合的に判断します。あわせて、評語の配分割合、相対評価か絶対評価かの選択、定性指標と定量指標の設計など、評価運用に関する重要な論点も事前に整理しておく必要があります。

評価制度における代表的な課題として、制度の形骸化が挙げられます。
評価の甘辛差、目標設定の質のばらつき、面談やフィードバックの進め方の違いを放置すると、従業員の不満や不信感につながりかねません。そのため、少なくとも年1回は管理職を対象とした評価者研修を実施し、評価基準や運用ルールの理解を統一することで、公平性と納得性を継続的に担保することが重要です。

報酬制度

等級毎の評価結果に基づいて社員に報酬を支給する。

報酬制度とは、等級ごとの評価結果に基づいて、社員に対して支給する報酬を体系的に定める制度です。基本給、各種手当、賞与、退職金などが対象となり、人事評価や昇格、役割付与と連動して設計されます。報酬制度は、従業員に対する企業からの強いメッセージとなるため、人材の定着や活性化、新陳代謝の促進といった他の人事施策とも一貫性を持たせることが重要です。

基本給

基本給は、等級制度と密接に連動して設計され、職能給、職務給、役割給などが代表的な形態です。これに加えて、本人給や年齢給、勤続年数要素を組み込む企業もありますが、近年はその比重を下げる傾向にあります。
等級制度における標準者の昇格モデルを設定することで、標準的な基本給カーブを描くことができ、地域平均や業界平均、可能であれば同業他社水準との比較も行えます。賃金設計の方向性が明確になることで、採用競争力や社員の将来見通しにも影響を与えます。
制度の大枠が決まった後は、号俸管理、洗い替え、昇給額管理など、運用ルールを整備することが求められます。

手当

手当の種類や設計は業種や企業特性によって異なりますが、一般的には役職手当、家族手当、子ども手当、住宅手当、通勤手当、地域手当などが挙げられます。手当は生活補填的な性格を持つ一方で、制度が複雑化しやすいため、社会情勢や他社動向を踏まえながら定期的な見直しが必要です。
あわせて、時間外労働手当や深夜・休日勤務手当などの割増賃金についても、賃金規程に明確に定めておく必要があります。

賞与

賞与は、従業員の評価結果や会社業績と連動させるケースが一般的です。部署や職種ごとに算定方法や配分基準を設定することも多く見られます。
成果主義を強化する場合には、売上や利益に連動した設計とし、評価による賞与原資の配分差を大きくすることが有効です。実務上は、基本給をベースに、個人評価と会社業績を加味して支給額を決定する設計が多く採用されています。

退職金

退職金制度は多くの企業で導入されていますが、支給方法や算定ロジックは企業ごとに異なります。一般的には、退職時の基本給に勤続年数を加味した係数を掛け合わせて算定されます。
一方で、ベースアップや定期昇給により退職金給付引当金が増加しやすく、財務面での管理が課題となるケースもあります。そのため、近年ではポイント制退職金制度へ移行する企業も増えています。
ポイント制では、各等級や役割に在籍した期間に応じてポイントを付与し、退職時に累積ポイントに基づいて退職金を支給します。これにより、退職金総額のリスクをコントロールしやすくなるだけでなく、社員にとっても上位等級を目指す動機付けとなり、モチベーション向上につながります。

人件費シミュレーション

現行制度と新制度での総額人件費予測(現時点、5年後、10年後など)や賃金カーブ(高業績者、標準者、低業績者)のシミュレーションを行うことが必要です。様々な微修正をしながら、経営数字に与えるインパクトを見て、適切な賃金テーブルを作成します。

給料管理レンジ
報酬シミュレーション

制度設計の進め方

等級制度・評価制度・報酬制度は、それぞれが独立して存在するものではなく、有機的に連動して設計される必要があります。各制度は相互に影響を及ぼし合い、その連動構造が人材開発制度やキャリア開発の基盤となります。
経営目標の達成には、組織全体のパフォーマンス向上だけでなく、個々の従業員の行動や成果の積み上げが不可欠です。そのため、個人の成長と成果発揮を下支えする人事制度は、経営戦略上きわめて重要な意味を持ちます。

当社では、制度設計にあたり、経営理念や人事部門の方針を起点として、現行制度における課題のヒアリング、各種人件費指標の分析、従業員意識調査など、多角的な観点から現状を把握します。その上で、長年にわたる人事制度設計の経験と知見をもとに、企業の実態と将来像に即した最適な制度をご提案します。

特に重視しているのは、全体としての一貫性です。全体コンセプトや制度理念と、等級・評価・報酬の設計が整合しているか、従業員が納得感を持って働ける仕組みになっているか、将来的なキャリア開発につながる設計になっているかといった点を総合的に検討します。部分的な制度改修ではなく、制度全体を俯瞰した設計を行うことが重要です。
人事制度は一度作れば終わりではありません。事業環境や働き方、社員の価値観が変化する中で、制度を見直さずに全社戦略を描くことは困難です。少なくとも10年に一度は、人事制度全体の方向性や整合性を見直し、企業の成長を支える仕組みとして再構築することが求められます。

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